今回は妊婦さんや、産後のママさんの腰痛について書きます。
妊娠中や産後に起こる体の変化、なんで腰痛になるのかを、筋肉という視点からから考えてみます。
ざっくりとわけて妊娠中、産後は体に2つの変化が現れます。
「骨盤が前に傾く」「骨盤が開く」です。
それに伴い筋・筋膜のアンバランスが起こります。
そこから腰に負担がかかり腰痛になるというメカニズムです。
それを1つずつ、筋肉の視点から見ていきます。
骨盤が前に傾く
妊娠中から考えていきます
上の図が正常な脊椎の並びです。
(右がお腹側、左が背中側です。)
ご覧のように、緩やかなS字を描いています。
こうすることによって脊椎に掛かる負担を分散させています。
妊娠するとどうなりますか?
お腹の赤ちゃんが段々と大きくなっていきます。
するとこんな感じになっていきます。
腰の部分が反っていきます。
骨盤も前へ傾いていきます。
反り腰になっていくと、筋・筋膜のアンバランスが起こり、縮こまる筋と、弱くなる筋がでてきて、余計に反り腰を助長していきます。
すると脊椎に負担をかけることになり腰痛が起こりやすい状態を作ります。
他にも筋・筋膜に血流障害が起こりトリガーポイントが発生して痛みを引き起こします。
筋・筋膜のアンバランス
・弱くなっているのは(黄色の筋)
→腹筋、お尻の筋、モモ裏など
・縮こまっているのは(赤色の筋)
→お腹の奥の筋、腰の奥の筋、背中の筋など
です。
正常な姿勢ならばこの筋肉たちはお互いに協力して動いています。
縮こまっている筋たち
・腸腰筋
お腹の奥の背骨、骨盤の内側から太ももの骨の内側につく筋です。
図のとおり背骨が引っ張られ腰を反らせます。
・大腿直筋
骨盤の下の出っ張りから膝の下につく筋です。
この筋も図の通りで、縮こまると骨盤を前に引っ張ります。
・腰方形筋
骨盤の後ろの方から第12肋骨についている筋です。
この筋が縮こまると、骨盤の後ろのほうがひょいと持ち上げられて。骨盤が前に傾きます。
・内転筋群
恥骨周囲から、太ももの後ろの外側についている筋です。
この筋が縮こまると、恥骨を下に引っ張ります。
・全体図
筋が黄色の矢印の方向へ引っ張られ結果的に、腰椎が前弯し、骨盤が前傾します。
他にも関わっている筋はありますが主な原因となっている筋はこいつらです。
弱くなっている筋たち
・お腹の筋(腹直筋、腹斜筋群、腹横筋)
・大殿筋とハムストリングス
この筋肉たちが弱くなることで、縮こまる筋が優位にたつことになり反り腰を助長してしまいます。
それプラス、妊婦さんはお腹が大きくなると、運動がしづらくなり全身的に筋肉が衰えてしまいます。
しかし、逆に考えるとこの弱りやすい筋肉たちが頑張ってくれると、反り腰になりにくく腰痛にもなりにくいということです。
なので妊娠中からこの筋肉たちを弱らないようにトレーニングしてあげると腰痛予防になります。
骨盤の開き
妊娠後期から産後まで骨盤の靭帯がゆるゆるになります。
赤ちゃんがお腹から出てくるときに、元の骨盤のサイズでは通りにくいので、ホルモンを分泌して靭帯を緩ませます。
そのときに開くのが恥骨結合のところです。
開いたものは出産後6ヶ月くらいでゆっくりと自然と閉まっていきます。
しかし骨盤が開くことによって、影響を受けるのが骨盤底筋群です。
骨盤底筋とは
これは正面(お腹側)から見た骨盤です。
骨盤の底にある筋群が骨盤底筋群です。
骨盤底筋群は重要な筋です。
横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群でインナーユニットを形成します。
いわゆる体幹やコアと呼ばれている部分です。
インナーユニットを形成することで、上の図のように腹圧を高め脊椎を安定させ、あらゆる動きにも対応しています。
骨盤底筋への影響
恥骨結合が広がることで骨盤底筋はどんな影響を受けるでしょうか?
骨盤を上から見た図です。(お腹側が下)
一番下に見えてるのが恥骨結合です。
そこが開いていきます。
それに伴い、骨盤の底についている筋たち(骨盤底筋群)が引っ張られていきます。
骨盤底筋群は伸びた状態になるため、筋本来の伸び縮みの機能が低下します。
するとさっきのインナーユニットの役目を果たせなくなり、体幹が不安定になってしまいます。
体幹が不安定になると、脊椎の安定感がなくなり、姿勢が悪くなり、肩こりや腰痛が発生しやすくなります。
腰痛を予防するには
縮こまっている筋を緩め、伸びている筋を動かし(トレーニング)、筋・筋膜のアンバランスを取り除き、骨盤の傾きと開きを修正してあげることです。
緩める筋たち
→大腿直筋、腰方形筋、腸腰筋、内転筋群
動かす筋たち
→大殿筋、ハムストリングス、腹筋群、骨盤底筋群
緩め方、動かし方は次回ご説明致します。
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